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2021/05/19 20:00

コーヒーを日本では漢字で「珈琲」と書きます。

この漢字は当て字であり、江戸時代に考案されたと言われています。

コーヒーは江戸時代の18世紀にオランダ人が持ち込んだとされ、長崎の出島でコーヒーが飲まれていたという記録が残っています。

そのコーヒーに漢字の「珈琲」の字を当てたのが津山藩(現:岡山県津山市)の藩医で蘭学者の宇田川榕菴(うだがわ ようあん 1798〜1846 年)だとされています。

「珈琲」という字はオランダ語のkoffieに漢字をあてただけではなく、「珈」は女性の髪につける玉飾り「琲」は玉飾りの紐の意味があり、枝に連なる “真っ赤なコーヒーの実”がまるで女性の髪飾りに用いる「かんざし(簪)」のようなのでこのように表したそうです。

榕菴は日本に概念が無かった植物学や化学、医学の書物を翻訳し、「珈琲」以外にも数多くの造語を生み出しています。

例えば、酸素や水素、炭素といった元素名や、金属や酸化、還元といった化学用語、細胞や属といった生物学用語、圧力や温度、結晶、沸騰、蒸気、分析、成分、物質といった現在でも日常的に使われている用語など、それまで日本になかった言葉を生み出し日本の近代科学の発展に大きく貢献した人物なのです。

現在でも日常的に使われている用語の多くを榕菴が生み出しました。

西洋植物学にも精通していた榕菴だからこそ、この「珈琲」という字をあてることができたのでしょうね。