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2021/05/19 08:30
「お箸をください」と、お惣菜やお弁当を買われていくお客さまに言われることがあります。
僕ら日本人は「箸(はし)」を、ただ「はし」と言わずに「お箸」と言います。
“はし”に敬語の“お”をつけている訳ですが、人間の生命をつなぐ食事に対する感謝が言葉にあらわれています。
ご飯を装う道具をお杓文字、器をお椀、お汁をよそう道具をお玉、すべてこの心からです。
そのような、日本の礼の文化は「お」の文化といっても良いのではないかと感じます。
「お」をつけなくても言えるのですが、何となくぞんざいに聞こえてしまいます。
これは理屈とかではなく、日本人の感覚で「お」をつけない音の響きがぞんざいに感じるのだと思います。
そして、その感覚が日本の礼の文化をつなぎ、生き続けているようにも思います。
日本語の「はし」とは、実は「はさ」と同じで間ということの意味です。
つまり「はし」とは点と点の間を表しているのです。
「はしら」と言えば、天と地の間を支えているものを表わします。
箸と同音の橋や端もそうです。僕たちが食事のときに使う道具をなぜ「おはし」というのかは、
一本と一本の間にある命の糧をとるので、「おはし(はし)」というのです。
そして、感謝を込めて命をいただきます。